新潟家庭裁判所長岡支部 昭和38年(少)113号・昭38年(少)216号・昭38年(少)223号
主文
少年を特別少年院に送致する。
理由
(非行事実)
少年は
一、昭和三七年一二月二七日午後一〇時三〇分頃、あたかも実兄恭○が注文した如く装つて志○博からトランジスターラジオを詐取しようと考え、新潟県長岡市○○町○○○番地志○博方店舗に電話をかけ、代金支払の意思もないのに同人に対し「俺は中○砕○の伜だが実は急にトランジスターラジオが必要になつたので、俺は行かれないが弟を使にやるから適当なものを頼む」などと告げ、まもなく右志○方に赴き同人に対し「兄が俺にかわつて買つてきてくれと言うので俺が来たがトランジスターラジオのてごろのものはないか、兄が近いうちに結婚をするのでその相手に記念のためプレゼントするのだ」などと言つて言葉たくみに欺き、その旨誤信した同人からすぐその場でトランジスターラジオ一台(時価八、〇〇〇円相当)の交付を受けてこれを騙取し
二、同月二八日午後二時頃、同市○○町二丁目○○○番地吉○ヨ○方店舗において、前記同様の手段方法をもつて、同人から腕時計一個(時価四、五〇〇円相当)の交付を受けてこれを騙取し
三、同月二九日午前一〇時頃、同市○○○町一丁目○○○番地田○幸○方店舗において、前記同様の手段方法をもつて、同人方店員星○ミ○○から半オーバー一着(時価八、〇〇〇円相当)の交付を受けてこれを騙取し
四、昭和三八年四月一〇日午後九時頃、同市○○町一丁目バー、○○前道路において、○○観光タクシー運転手渡○福○(当三〇年)から運賃をつけ払にすることを拒否されたことに憤慨し、同人に対し「俺がそんなに信用ならんのか」などと言つて同人の頭部を殴打し更に下腹部を蹴るなどの暴行を加え
五、同月二六日年後八時三〇分頃、同市○○町○○公園観桜会場において、観桜飲酒中隣席にいた名○敏(当二八年)に対し些細なことに因ねんをつけ、いきなり同人の頭部をビール瓶で殴打するなどして、安○登○と共に暴行を加え同人に対し前額部挫創の傷害を負わせたものであるが、その傷害を生ぜしめたのはいずれの暴行によるものであるか知ることができず
六、前記同日時場所において、前記暴行の仲裁をしようとした野○功(当二二年)の後頭部を下駄で殴打し、同人に対し後頭部挫創の傷害を負わせ
たものである。
(適条)
一ないし三の各事実につき、刑法第二四六条第一項
四の事実につき、同法第二〇八条
五、六の各事実につき、同法第二〇四条(五の事実については更に同法第二〇七条)
(要保護性等)
少年は昭和三七年一月二〇日中等少年院を仮退院したものであるが、その後まもなく家財入質、家出放浪など虞犯傾向を顕わし、同年三月下旬頃には窃盗非行を犯すにいたり(同年七月一七日不処分決定、当庁)、家族に対して暴力をふるい同年五月九日頃父親に対し全治一〇日間を要する傷害を与えるなど爆発的な粗暴傾向も加わり、その間当裁判所は担当保護司、保護者と共に少年の指導方針等について協議をなし、家庭環境の調整を試みたものであるが、少年はその都度小康状態を保つのみですべては一時的なものであつて在宅保護は絶望に近い状態にあつたところ、前記各非行を犯すにいたつたものである。
少年の性格は意志欠如性、即行性、自己顕示性においてかなりの偏倚を示し、殊に意志欠如性、即行性は異常な偏倚を示しており、精神病質との診断(鑑別結果)がなされている。
以上の事実および本件非行の態様等諸般の事情を総合勘案するに、少年の犯罪的傾向は極めて進んだものと言わざるを得ない。而して、かような状況にある少年の処遇について考えるに、保護者、保護司、家庭裁判所調査官等の関係機関が如何に熱意をもつてその指導にあたるとも、在宅保護等の処遇では到底少年を改善せしめることはできないと考えられるので、少年の健全な育成を期するためには収容保護が必要であると認め少年法第二四条第一項第三号により、更に少年は犯罪的傾向の進んだものとして少年審判規則第三七条第一項により、少年を特別少年院に送致する。
よつて主文のとおり決定する。